DjangoやFlaskなどのPythonアプリケーションをデプロイする際に使うGunicorn(ジーユニコーン)。
デプロイはできたけど、実際にどのような役目をしているのか分かりづらいですよね。
今日はGunicornについて紹介していきます。
Gunicornとは
Gunicorn(Green Unicorn)は、PythonのWebアプリケーションサーバーであり、高速で拡張可能な環境でのWebアプリケーションのデプロイメントを容易にするために設計されています。
Gunicornは、WSGI(Web Server Gateway Interface)準拠のWebアプリケーションフレームワークと連携して動作します。WSGIは、PythonのWebアプリケーションとWebサーバーの間の標準化されたインターフェースです。つまり、GunicornはPythonのWebアプリケーションを受け入れ、HTTPリクエストを処理し、Webアプリケーションに渡す役割を果たします。
Gunicornの特徴的な特徴の一つは、マルチワーカーモデルを採用していることです。これにより、複数のプロセスを同時に実行し、複数のリクエストを同時に処理することができます。これにより、Webアプリケーションのパフォーマンスが向上し、ユーザーに迅速かつ効率的なレスポンスを提供することが可能になります。
さらに、Gunicornは拡張性に優れています。ワーカープロセスの数や接続数などのパラメーターを調整することで、サーバーの動作を調整することができます。また、NginxやApacheなどのリバースプロキシと組み合わせて使用することもできます。これにより、Gunicornは高トラフィックの環境でも優れたパフォーマンスを発揮することができます。
Gunicornはコマンドラインツールとして提供されており、比較的簡単にインストールして使用することができます。また、Pythonの仮想環境やDockerコンテナ内など、さまざまな環境で利用することができます。
要約すると、GunicornはPythonのWebアプリケーションを高速かつ拡張可能な方法でデプロイするためのサーバーソフトウェアです。マルチワーカーモデルと拡張性の高さが特徴であり、Webアプリケーションのパフォーマンス向上とスケーラビリティを実現します。
以下、さらに詳しく説明します。
Gunicornの定義
Gunicornの公式サイトに記載されているものを翻訳します。
Gunicorn もしくは緑のユニコーンとはPythoinのWSGI HTTPサーバーでUnixの為に作られました。これはPre-Forkワーカーモデルです。(※各ワーカーをアプリケーションごとに割り当てロードに必要なキャパシティ以上を割り当てる)
Gunicornは様々なウェブフレームワークに対応し、簡単に実装でき、サーバーに負担のかからない、軽量なサーバーになります。
Gunicornができた経緯
Gunicorn(Green Unicorn)は、RubyのWebサーバーであるUnicornにインスパイアされて作られました。RubyのUnicornは、高パフォーマンスで信頼性の高いWebアプリケーションサーバーとして広く使用されていました。
Pythonのコミュニティでは、RubyのUnicornの成功とパフォーマンスの高さに触発され、同様の機能を持つPython用のWebサーバーが求められるようになりました。そこで、Python開発者のBenjamin PetersonがGunicornを開発しました。
Gunicornの開発は、2009年に始まりました。当初はワーカープロセスの管理やリクエストの処理など、基本的な機能の実装に焦点を当てていました。その後、GunicornはPythonのWSGI(Web Server Gateway Interface)仕様との互換性を持つように拡張され、Pythonの主要なWebフレームワークとシームレスに連携できるようになりました。
Gunicornは、PythonのWebアプリケーションサーバーとしての需要を満たすため、活発なオープンソースプロジェクトとして成長しました。開発者コミュニティの貢献により、Gunicornは安定性とパフォーマンスの向上が図られ、多くのユーザーによって利用されるようになりました。
また、Unixのアプローチとして、毎回アプリケーションのデプロイをするたびに下記の作業が必要でした。
- スタティックファイル(静的ファイル)のホスティング
- Http接続の扱い
- サーバーがクラッシュしたときの回復作業
- アプリケーションのスケール化の対応
以上の作業がアプリケーションのデプロイごとに必要になりとても時間がかかります。
それを解決するのがGunicornになります。
サーバーの仕組みを理解する
Pythonのウェブアプリケーションのデプロイには下記の3つのスタックが必要になります。
- ウェブサーバー(Nginxとか)
- WSGIアプリケーションサーバー(Gunicornとか)
- アプリケーション(Djangoとか)
ウェブサーバーはユーザーからのリクエストを受け、ドメインロジックとHTTPコネクションを担当します。ウェブサーバーは正しいリクエストだけを判別し、実際のDjangoアプリ等に渡してあげることが役目になります。
Django等のアプリケーションは各リクエストに対してリスポンスをすることしかできないことを理解しておきましょう。
ではアプリケーションサーバー(Gunicorn)の役目をこれから説明します。
Web Server Gateway Interface(WSGI)とは
Web Server Gateway Interface(WSGI)は、PythonのWebアプリケーションとWebサーバーの間の標準化されたインターフェースです。WSGIは、PythonのWebアプリケーションフレームワークやWebサーバーの開発者が、相互に互換性のあるコンポーネントを作成するための共通のルールを提供します。
WSGIの主な目的は、WebアプリケーションフレームワークとWebサーバーを疎結合にすることです。これにより、異なるフレームワークやサーバーを組み合わせることができ、柔軟性と再利用性が向上します。WSGIを使用することで、Webアプリケーションの開発者は、特定のWebサーバーに依存しないアプリケーションを作成できます。
WSGIでは、2つの主要なコンポーネントが定義されています。
- Webサーバー(Server): WSGIサーバーは、HTTPリクエストを受け取り、WSGIアプリケーションに渡す役割を果たします。WSGIサーバーは、ネットワーク接続を管理し、HTTPリクエストとレスポンスを処理する機能を提供します。
- アプリケーション(Application): WSGIアプリケーションは、Webアプリケーションの実際の処理を担当します。WSGIアプリケーションは、WSGI準拠の関数またはクラスで表現され、HTTPリクエストを受け取り、適切なレスポンスを生成します。WSGIアプリケーションは、フレームワークやアプリケーションのロジックを実装するコードです。
WSGIを使用する場合、Webサーバーとアプリケーションはお互いに疎結合であるため、異なる組み合わせが可能になります。これにより、異なるWebフレームワークを使用したり、Webサーバーを切り替えたりする際の柔軟性が向上します。
要約すると、WSGIはPythonのWebアプリケーションとWebサーバーの間の標準化されたインターフェースであり、疎結合性と柔軟性を提供します。WSGIによって、PythonのWebアプリケーションは異なるフレームワークやサーバーと組み合わせることができ、再利用性と相互運用性が向上します。
WSGIサーバーとしてのGunicorn
Gunicornは複数のウェブサーバーと交信ができます。またGunicornはどのウェブサーバーを使っているかも気にしません。(例えばNginxとかApacheとか)
GunciornはWSGIサーバーとしてウェブサーバーとコミュニケーションが取れることだけと条件としています。
GunicornはウェブサーバーとPythonアプリケーションの間に入り下記の問題を解決してくれます。なので自身で解決策を探す必要がありません。
- 複数のウェブサーバーとコミュニケーションする
- 大量のウェブリクエストに対する対応と、ロードバランスの分散
- 複数のウェブサプリケーションのプロセスを実行しておく
Gunicornの代替オプション
Gunicornの代わりになるいくつかのPythonのWSGIサーバーがあります。以下にいくつかの代表的なものを挙げます:
- uWSGI: uWSGIは高性能なWSGIサーバーであり、Pythonのみならず、さまざまな言語やフレームワークに対応しています。uWSGIは柔軟な設定オプションを提供し、高いパフォーマンスとスケーラビリティを実現します。また、ロードバランシングやプロセス管理などの機能も備えています。
- Waitress: Waitressは軽量でシンプルなWSGIサーバーです。Pythonの標準ライブラリに依存し、インストールが容易です。Waitressはセキュリティと安定性に焦点を当てており、簡単な設定と使いやすさが特徴です。
- CherryPy: CherryPyは、PythonのフルスタックWebフレームワークであり、同時にWSGIサーバーとして機能することもできます。CherryPyは独自のマルチスレッドサーバーを持ち、高パフォーマンスと堅牢性を提供します。また、柔軟なURLルーティングやセッション管理など、さまざまな追加機能も提供されています。
- Tornado: Tornadoは非同期のWebフレームワークであり、同時にWSGIサーバーとしても使用できます。Tornadoはイベント駆動型のモデルを採用しており、高いスループットと低レイテンシを実現します。特に非同期処理やリアルタイムアプリケーションの開発に適しています。
これらの代替オプションは、Gunicornと同様にPythonのWSGIアプリケーションをデプロイするための柔軟な選択肢となります。選択するサーバーは、プロジェクトの要件や特定のニーズに基づいて決定することが重要です。
まとめ
Ptyhonを使ったアプリケーションをデプロイする際にはWSGIサーバーを使用するようにしましょう。そうすることにより、アプリケーションのスケール化を図ることができます。